日本での在宅医療の現状とその要因

日本では、たとえ病気になったり、介護が必要になったりしても、住み慣れた地域で療養生活を送れるよう、政府が法律をはじめ様々な分野の整備を進めています。実際、在宅医療推進のために、入院病床を減らす取り組みもされているのです。啓もう活動の結果、自宅で療養したいと願う人も増えてきました。それでも、他の先進国に比べると、日本の在宅医療は普及が遅れています。

日本で在宅医療が進まない理由の一つとして、支える立場の人がいないという現実があります。日本では親子3世代で住むことが減り、核家族化が進んでいるのが実態です。また、一家の大黒柱の収入だけでは食べていくことが難しく、女性が働くケースが増えて専業主婦の割合が減少しています。そのような状況では、支える立場の人の負担が増し、長いスパンでの在宅医療は無理があるでしょう。そのため、自宅で療養したいと思っていても、家族への負担を考えて在宅医療を諦める人もいます。

在宅医療が進まない背景にある別の理由が、在宅医療をサポートする人材の不足です。日本では2018年に在宅医療を支える、「総合診療専門医」の制度が作られました。それでも、総合診療専門医を目指す医師は、まだまだ少数派です。また、在宅医療を支えるためには看護師の存在が不可欠ですが、24時間いつでもケアを依頼できる看護師の存在は多くありません。そこで、在宅医療を魅力的な仕組みに変え、人材を育成していくことが大切です。